時尾と斎藤の秘密
これは江戸、幕末の時代。 Γ斎藤一の生涯」 私は、すぐに死ねばよかったのに…あなたがいなくなったら、どうやってたちなおる…?どうやって暮らしていく…? 私は最後の言葉を見逃してしまった。 いや、聞かないようにしていたのだ… だって、泣いてしまう… 最後ぐらい…笑っていたかった… 生涯はとてつもなく長い。最後刀が抜けなくなる。先生は大粒の涙を流して私から隠れて泣いていた。先生は誰にも話さないつもりだったに違いない。やがて、生涯に苦しみながら、先生は刀を必死に抜こうとしていた。 死ぬまで武士の誇りを握りしめていた。死ぬ直前まで… 「斎藤の妻の秘密」 先生はもともと、藤田五郎と名を頂くまでは、一人目の妻、やそさんと結婚していた。だが、生涯に倒れ、命を落とした。 戊辰戦争後に、二人目の妻、時尾と再婚した。時尾は会津藩の大目付の娘。斎藤が家庭で唯一頼りにしていたという。 「時尾は、小柄で、少し心配性がある。」時尾も頼りにしていたのは斎藤だけだと思ったが、斎藤は時尾よりも早く他界になった。