不器用ちゃんと不器用くん。
「どうしてっかな。」
俺が10年前にこの街にいたとき、小さい頃からよく近くの公園で遊び、同じ保育園に通う幼なじみだった。
茉奈はいつも俺を追いかけてくれて、
「柊くーん!」
俺の名前を呼ぶその声も、そのときの笑顔も、一度も忘れたことはなかった。
でも、あの頃から俺はクソ生意気で、素直じゃなくて、そんな茉奈にただ笑い返すこともできなかった。
好きな子には意地悪したくなるってやつ?
笑顔で走りよってくる茉奈を、いつも泣かせてばかりいた。
それでも茉奈は毎日毎日、俺のことを追いかけ続けてくれていた。