今宵も、蒼月に誘われて

遊郭で働くのは出来れば避けたいが…どうしたものか。

沖田さんの問い掛けすらもう頭の中に残ってはいなかった。
どこから来たかと問われたらなんて言おうか、滋賀県…近江国と言えばいいか。嘘じゃないし。


「相模、お前どこから来た。」

土方さんの真剣な声に初めて我にかえる。俺は知っているんだ、そんな表情の彼に固まりかけていた嘘がボロボロと崩れ始める。

「え、と…「事実だけを言え。俺はお前が柳の木の中から出てくるのを見ているんだ」









え?










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