今宵も、蒼月に誘われて
土方side
殺すなら一思いにお願いします。
そう言った相模は静かに目を閉じた。
その様子にたじろぐ総司。無理もない、総司だってしたくてこんなことしてるわけではないのだから。好意すら抱いている相手、でも疑うべき要素があるなら斬るべきだと思っているからこそ。未来から来たという彼女もそれを理解しているのだろう。だから一思いに、と告げた。
「下ろせ、総司。こいつは嘘は言っちゃいねぇだろうよ。でないと俺が見た現象と辻褄が合わねぇ。それに俺も聞いたんだよ、誰もいないはずの場所で鈴の音を」
少し不服そうにけれど、嬉しそうに刀を鞘に収める彼に目を細める。
「未来から来たなら行くあてねぇだろ。総司、近藤さんに相談してこい」
「土方さんは何するんですか?まさか襲っ「お前が傷付けた首に薬塗ってやるんだよ、女に傷つけてどうすんだ馬鹿」
「ご、ごめんなさい!相模さん」
いつの間にか決着がついていた話にポカンとした顔を浮かべる相模はふるふると首を振って笑う。
昨日思ったことは間違いじゃなかったみたいだ。相模ぎ笑うと周りの雰囲気まで変わる。本当にかぐや姫みたいだ。