今宵も、蒼月に誘われて
「お前に剣なんて死んでも持たせねぇよ」
「そんな心配はしなくてもいいんだよ」
「相模さんは剣なんか持っちゃダメです!」
三人が口々に剣など持つ必要がない、と言ってくれる。嗚呼、どうしてだろう。
どうして初対面の私にこんなにも温かく接してくれる。
「わ、私は剣も使えなければ舞も踊れません。雀の涙ほどの知恵とみなさんを癒す音楽なら奏でられます。右も左も分からない小娘ですが、良ければみなさんのお側に置いてやってください」
みなさんのお側にいたいのです。
深く深く頭を下げて請う。
必要なくなれば切り捨ててもらっても構わない。私がこの時代に飛ばされたのは何か意味があるはず。その意味がここなら掴める気がした。
チリン…
聞き覚えのある音色にハッとして頭を上げた時、そこには三人の柔らかな笑みが溢れていた。
「宜しく頼むね、相模さん。私のことはお父さんとでも思ってくれ」
「近藤さんがお父さんなんて羨ましすぎます!蒼さんとお呼びしてもいいですか??」
「今度、琴聴かせてみろ。下手だったら盛大に笑ってやらぁ」
暖かなこの場所で私は生きていくんだ。
「よろしく、お願いします。みなさん!」