今宵も、蒼月に誘われて
はじまりは鈴の音
これは現実なのか、はたまた夢なのか。
それにしても…
「立ったまま夢を見れるなど、俺は出来るのだな」
現実逃避なのか、そんな言葉を漏らす。
地面にうずくまるように眠る少女の白く滑るような頬にそっと手を伸ばす。
あたたかい。
生きている。
男は黙って少女を抱き上げた。
生きている少女をこのまま放置してしまうのは男が廃れる。
それにこんなかぐや姫のような少女を放置していくと…
ぶるり、体を震わせる。
俺はそんなとこじゃないと自分に言い聞かせながら屯所に向かう。
はてはて、どうやら俺は大きな拾い物をしてしまったらしかった。