喫茶の謎解き意地悪紳士
叶亜が首を傾げた。
「私は生まれつき、足が悪いんだ。……お前さんと一緒だな」
大司は杖で叶亜の足を指した。
叶亜が肩をすくめて笑う。
「それを懸命に介護してくれたのが、愛子だった。その間、妻の友美は詩音のことばかりで、私のことは気にもとめてなかったよ。全て愛子に任せきり。一度だって、私の看病などしたことがないような妻だ」
腹が立ったのか、大司は杖で床を叩いた。
「そんな奴に遺産をあげられるか?しかも、遺産と聞いたらすぐに飛び付いてきて介護をし始めた。遺産なんてあげないよ……」