誰が好きなの?
私は今の光景を見てなかったかのように、教室のドアを勢いよく開けた。
そして二人を見てみた。
物凄く頓狂な顔をしている。
そして秦野くんは、キスしていた蒲田さんを遠ざけた。
二人は私が見てしまったことを知っている。
だからこそ言ってやったんだ。
「へー、秦野くんって彼女いるのに、彼女でもない女の子とキスできんだー」
普段こんなこと言わないから、滅茶苦茶恥ずかしい。
でも今はそれより早く筆箱を掴みたい。
何も言わない秦野くん。
「お邪魔しましたー」
そして陽気な声を出すわたし。
校門を出るなり、すぐにケータイを取り出した。