「恋って、認めて。先生」
琉生と純菜がいてくれて本当に良かった。この先比奈守君とどうなるかは分からないけど、悪いことにはならない気がする。
比奈守君と別れた後からは考えられないくらい気持ちが明るくなったのは、二人のおかげだった。
「今日、二人といられて本当に良かったよ」
私は言った。
「ありがとう。もし二人が悩んだ時、私も力になれたらいいな」
「なんだよ、改まって。照れるなー」
琉生は珍しく照れてうつむき、純菜はにっこり笑った。
翌日。いつも通り職員室の席に着くと、隣の永田先生が眠そうに声をかけてきた。
「昨日はあれからゆっくり休めた?」
「はい。おかげさまで。本当にありがとうございました」
「なら良かった。もう、無茶するのはやめときなよ?」
「はい、気をつけます」
私達以外の先生はまだ来ていない。話もそこそこに書類を整理していると、永田先生が周囲の様子を見渡してから言った。
「昨日、アミ達の元に戻ったよ」
「あ、はい…!エモから聞きました。あの後電話がかかってきて」
「君があまりにも戻ってほしそうだったから。アミの気持ち、知ってたの?」
「いえ、それは……」
アミさん、永田先生に告白したんだ…!
永田先生はクスッと笑い、
「アミと僕がその後どうなったか気になる?」
「いえ、私はそんな……」
「そっか。比奈守君と仲直りしたんだ」
「え……?」
「だって、ちっとも他の男のこと気にしてないから」
「……仲直りはできてないんです。距離を置くことになりました」
「えっ……!?」
本気で驚いているらしい。永田先生は眉を寄せ、深刻な声音で謝ってきた。
「ごめん。僕のせいだよな。酔ってたとはいえ、昨夜は二人のことに首突っ込み過ぎたかなって反省してたんだ……」
「違うんですよ、永田先生のせいではありません。私が……」
私が、比奈守君の気持ちを全て理解できないから。でも、時間が経てば気持ちも変わってくるかもしれない。その時まで待つしかないんだ。
「……今はお互いのために時間を置きたいと思います。きっと元に戻れます。どうか永田先生は気にしないでください」
「無理してない?」
「不安はありますけど、それ以上に彼のことが好きですから、信じます。こういう時間も時に必要なんだと思います」
ここまで強く気持ちを立て直せたのは、琉生と純菜のおかげ。比奈守君を信じて、今は自分の気持ちを見つめ直そう。