「恋って、認めて。先生」

 そうしていると、いつの間にか深夜0時を過ぎていた。しまった、明日も仕事なのに!

 急いでシャワーを浴びベッドに入ると、枕元に置いておいたスマホにラインのメッセージが届いていた。もしかして、比奈守君!?

《今日は来てくれてありがとうございました。親が言ってたことは気にしないで下さい。》

 期待していた比奈守君からのメッセージに、自分でも信じられないくらい気持ちが明るくなる。シャワーでほどよく眠気を感じていたはずなのに、それすらすっ飛んでしまうくらいに。

 メッセージが来たのは、15分前。ちょうどシャワー真っ最中の頃だ。あまり待たせてはいけないと思い、私はすぐに返信した。

《大丈夫。気にしてないよ。優しそうなご両親だったね。仕事お疲れ様。》
《優しいっていうか、ただうるさいだけですよ。》

 そんな文章を打ちながら仏頂面をしている比奈守君を想像し、思わず笑ってしまう。

《今、琉生さん達も一緒ですか?》
《琉生と純菜はもう帰ったよ》
《じゃあ、電話してもいいですか?》

 え!?電話!?

 思わぬことを言われドキッとしたけど、断る理由もない。むしろ、私も彼と話したい。

 返信の代わりに、こっちから電話をかけた。

『すいません、電話。こっちからかけ直すんで』
「いいよ、気にしないで?」

 心なしか上ずった声の比奈守君を落ち着かせる。

「何か用事だった?もしかして、勉強で分からないところがあったとか?」
『いえ、違うんです。勉強じゃなくて……』
「……?」
『これからも本当に連絡していいのか気になって……。琉生さんはいいって言ってたけど、さっきは店で忙しかったから先生とまともに話せなかったし、先生も、琉生さんの勢いに流されて俺にああ言ったのかなって思ったので』

 冷静な声だけど、その中に不安な気持ちが混ざっているのを感じる。私だけじゃない。こわいのは比奈守君も同じなんだ……。

「大丈夫だよ。本当に、迷惑なんて思ってないから」

 前向きに比奈守君のことを考えるって決めたんだ。頑張れ私!

「それに、私、比奈守君に好きって言ってもらえて嬉しかったよ」
『……えっ。ほんとですか?』
「うん……」

 さすがの比奈守君も驚いていた。顔が見えないから、声の感じでよけいに分かる。そうだよね、まさか、担任の女教師にこんなこと言われるなんて、比奈守君も思ってないよね。

 やっぱり、言わなきゃよかったかな。早くも後悔していると、比奈守君は明るい声音で言った。

『嬉しいです。勇気出して告(い)って良かった』

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