魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
まだ外は暗いのに目が覚めてしまった。小鳥の鳴き声も早起きの農民の足音も聞こえない。ただ静かな闇の中、私はベッドの中でじっとしていた。
今日はいよいよ決戦の日だ。王国の命運が決するとき。
私は深呼吸をすると、ベッドから降りて洗面台に向かい、冷たい水で顔を洗った。柔らかいシャツの上に琥珀で補強された膝下丈の革のズボン、同じく革のチュニックを羽織る。腰紐を巻いて、薬とダイジェスト版の魔法書を入れた皮の袋を結わえ、ニワトコの魔法の杖を差す。
これで準備は整った。
マスター・クマゴンを起こさずに行こうと思ったのに、部屋のドアを開けようとしたとき、ドアがノックされて彼(彼女?)の声が聞こえてきた。
「セリ、起きてる?」
「うん」
「支度できた?」
「うん」
ドアを開けると、マスター・クマゴンが両手のひらに乗るくらいの布の袋を差し出した。
「食糧よ」
「マスター・クマゴン……」
この村の、王国の食糧事情は知っているつもりだ。でも、私が滞在している間、マスター・クマゴンは一度も私が食べ物に困らないようにしてくれた。農作物が凶作だったとは信じられないくらいに……。
今日はいよいよ決戦の日だ。王国の命運が決するとき。
私は深呼吸をすると、ベッドから降りて洗面台に向かい、冷たい水で顔を洗った。柔らかいシャツの上に琥珀で補強された膝下丈の革のズボン、同じく革のチュニックを羽織る。腰紐を巻いて、薬とダイジェスト版の魔法書を入れた皮の袋を結わえ、ニワトコの魔法の杖を差す。
これで準備は整った。
マスター・クマゴンを起こさずに行こうと思ったのに、部屋のドアを開けようとしたとき、ドアがノックされて彼(彼女?)の声が聞こえてきた。
「セリ、起きてる?」
「うん」
「支度できた?」
「うん」
ドアを開けると、マスター・クマゴンが両手のひらに乗るくらいの布の袋を差し出した。
「食糧よ」
「マスター・クマゴン……」
この村の、王国の食糧事情は知っているつもりだ。でも、私が滞在している間、マスター・クマゴンは一度も私が食べ物に困らないようにしてくれた。農作物が凶作だったとは信じられないくらいに……。