世界で1番愛する君へ~君に届けるラブソング~



懐かしい


そんなこともあったな

それでも結局、君の心は動かせなかったんだけどね

いくら大好きでも君の心を動かすのは無理だったってことかな?


でも、まだ真っ直ぐに伝えていないから

…好き…

をまだ……だから伝えたら変わるのかな

気づかれていても伝えたら少しぐらいは変わる気がする

カナウ君の心が

私の心が

だからね、あと1週間だけど頑張るし、諦めないし、最後まで好きでいるし

これからも…


カナウ君とのツーショットの写真を撫でながら泣きそうになる

あーあ、受験が終わってからいつもこう

勉強に終われていた日々がなくなって後はカナウ君への気持ちだけが心残り

真っ直ぐに言ったら消えそうで怖い

けど、それはきっと立ち向かえない私の弱い心の本音だって分かってるから

弱い自分に私は負けない

強い自分であり続ける

最後まで君の前では泣かないよ


一通りアルバムを見終わってアルバムを閉じる

最後にこのアルバムを飾るのは2枚目の君とのツーショットでありますように


『いつも見ていた君の横顔

 無愛想君な君へ芽生えた恋感情

 愛想笑いも浮かべぬ君へ

 私が笑顔にしてみせる』


咄嗟に浮かんだ歌詞と曲を口ずさむ

目を瞑ったら浮かんでくる情景

いつも無表情な君の横顔

遠くを見つめるように、何を見ているのか分からない綺麗な瞳に私はいつも引き込まれる


『私だけには見せて欲しいの

 私以外に見せないで

 君の魅力に気づくのは私だけでいいから

 そう、君が笑顔になるまで隣で笑っているよ』


1番盛り上がるサビに入る

残り少ない日々で君の笑顔を見れるのか

というよりは絶対に私が笑顔にさせる


『信じて私を私の笑顔を

 見せてよ本当の君の笑顔を

 さよならの前に愛しき君へ

 伝えるべきは愛の言葉、好きの気持ち

 目をつぶれば零れる涙を拭って

 徐々に近づくは君…

 必ず行くよ』


歌い終わって閉じていた目を開く

溢れでる気持ちを零れないように胸をおさえる

深く深呼吸をしてからアルバムを片付けようと椅子から立ち上がり棚に向かう

そこまで広くない私の部屋に備え付けられた棚に手をかけた


「あれ…?」


見つけたもの

棚の奥にひっそりと見えた黄ばんだ写真

何故か興味をひかれる

こういう時って何か素敵なものが待っているフラグがたっているような気がする


なんだろう

手を伸ばしその写真を私は取り出した



小さい頃の私とあと…誰だろう

その写真に写っていたのは小さな女の子と男の子が笑って写っている写真

小さな女の子は私


雪が積もったこの近所の公園

一緒に写っているブランコには見覚えがある


寒いせいか2人共鼻が赤い

マフラーと手袋、耳当てもしていてきっと1月か2月かその辺り


写真には日付は、書いていない

一体何歳の時の写真なんだろうか


裏は…?

私は写真の裏を返す



「え……」


予想も出来なかったことが起こる

フラグはハズレ

その写真には素敵なものが待っていた訳じゃない

もっと衝撃的な…

黄ばんだ写真の裏に薄い鉛筆の文字で書かれた私の名前と…


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