世界で1番愛する君へ~君に届けるラブソング~



私はこの年で父をなくした


父は生まれつき体が弱かったらしくて私が生まれた次の年から1度治ったはずの病が再発

入院と退院を繰り返していた


そして容態が悪化し父は呆気なくこの世を去ってしまった

死というものがなんなのかこのとき私は初めて知った


父と一緒にいる時間は確かに短かったけど

会えなくても毎日電話で話したりお見舞いに行ったり

頑張ったこと悲しかったことを

優しい声で誉めてくれた、笑ってくれた、励ましてくれた…

そんな心優しかった父に出来たことは少なかったかもしれないけど

もしかしたら迷惑ばっかりかけていたかもしれないけど

幼いなりの精一杯のことをしたつもりだった


でも、いなくなったとき

現実は厳しくてつらい

私は何も出来なかったんだ

私がいくら笑って側にいたって父が元気になる訳じゃない、病気が治る訳じゃない

私はただ泣くことしか出来ない弱い存在なのだと初めて知った


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