世界で1番愛する君へ~君に届けるラブソング~



しばらく無言でただ頭を撫でられながらお母さんの微笑む顔を見つめていた

けれどその無言を破ったのはお母さん


「それじゃあ…」


そう言いながらお母さんは私達から手を離し立ち上がった

膝をついてしゃがみこんでいたせいで溶け始めた雪がズボンの膝について濡れてしまっている

寒空の下、太陽は出ているがまだ寒い、お母さんは手袋をしていなかったから手が真っ赤に染まっていたが、カナウの鼻をすする音がするとその冷えきった手でカナウの鼻を拭いた


「お母さん、帰るね

 ルナもカナウ君もさっさと帰るのよ」


そう言ってから歩きだそうとしたお母さんを私はひき止めた

最後にもうひとつ


「待って、お母さん!

 最後に写真とってよ!

 カナウと出会えた記念に!」


私はカナウの腕を引き寄せ手にピースを作り突き出す

お母さんははいはい、とか言いながらカメラを取りに一旦家に帰った

家はそこまで遠くない歩けば往復5分で行ける距離

それまでの5分間カナウと2人っきりだ


「ねぇ、ルナ…」

「ん?」


下を向きながらカナウは呟いた

元気ないなぁ

どうしたんだろう

寒いのかな?

眠いのかな?


「どうしたの?」


私はそう追求した

とにかくカナウが心配で、だってさっきまではずっとニコニコと微笑んでいたのに

質問してもまだ俯いたままだったが急に顔をあげてニコッと微笑んだ


「やっぱり、なんでもない

 それよりルナのお母さん早く来ないかなぁ~」


なんて言ってカナウははぐらかした

あんまり秘密は持って欲しくないのに…

そう思いながらも私がそれ以上追求することはなかった

もし、聞いてほしくないことかもしれないし

大丈夫、カナウはいつか話してくれる、そう信じていた


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