世界で1番愛する君へ~君に届けるラブソング~



きっと…きっとあそこにいるはず


うちの学校で人目につかない告白に適任な場所っていったら限られる

第2校舎の4階の踊り場

図書室の人気のないブロックの死角

校舎の裏の桜の木の下

体育館に繋がる渡り廊下

そして、ここからの距離を考えると1番怪しいのは渡り廊下

そう頭のなかで推理を浮かべ私とアヤメは走り抜ける

クラスのある3階から階段を駆け降り1階の廊下を走って行く

バタバタと足音をたててすれ違う後輩たちに注目されるが今はそんなの関係ない

だって今ここで足を止めてしまったらきっとまた迷ってしまう

だから今は無理にでも足を動かしていち早くあなたを見つけたい

ねぇ、告白されたらどうする?

いいよ、って言っちゃう?

私のことなんてやっぱりこれっぽっちも興味なんてなかった?

約束は…忘れてしまったの?

ぐるぐると頭のなかを回る思いが私の頭を痛くする、私の胸を痛くする

チクチクするどころじゃないよ

ズキズキ痛くてしょうがない

現実を知るぐらいなら逃げてしまいたいぐらいだけどそれでも信じたい未来があるから私の足は止まらない

君のためならどんな困難だろうと乗り越えてみせるよ


私の苦しそうな吐息とアヤメの吐息が廊下に響く

昇降口が近くなってきて人はもういない

さっきまでの騒音が嘘のように静まり返った昇降口を抜け最後の角を曲がろうとするところでようやく見えたカナウ君と女の子の後ろ姿

私はばれないように足を止めて角にアヤメと一緒に隠れた

そして2人のようすを陰からコソコソと見るのだった

疲れきって肩で息をしている私とは裏腹にアヤメはまだまだ体力が余っているようでアヤメは普通に呼吸をしている

隣を歩かないでよ

カナウ君の隣は…私の…


こんなのストーカー見たいじゃん


そんなこと分かってる

こんなところまで追いかけてどこまで大好きなんだろう

きっともう大好きも愛してるも通り越しただろうな

1日1日を過ごすたびに好きが増しているんだよ

ごめんね、カナウ君


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