世界で1番愛する君へ~君に届けるラブソング~
「カナウ君!」
私ねあなたに聞きたいことがたくさんあるんだよ?
いつも話しかけても答えは適当
きっとあの頃の純粋に優しく笑っていたあなたは戻ってこないのかもしれないけれどそれでも私はこの残りの数日に今までのあなたへの愛を全力で注ぐから
私は名前を呼びながらカナウ君に話しかける
きっとクラスのほとんどの人が気づいていると思う
私がカナウ君のことが好きなこと
それはカナウ君にも…?
気づかれていても構わないけどね
否定なんてしないよ
大好きだから聞きたいこともいっぱいあるの
「カナウ君はさぁ
どこの高校行くの?」
とにかく一番聞きたかったこと
最後の願書を届けるまでに聞ければよかったのにあっという間に流されて結局聞くことは叶わずきっと高校も違っているだろう
だからもうどうせ試験も終わったし今更だけど…いや、今更だからこそだよね
今更だから教えてよ
隠す必要なんてもうないでしょ?
「別に…」
べ、別に?
カナウ君は私の方向は向かずに目の前の厚みのある本にしか顔を向けてくれないけどまぁ、それでもカナウ君の横顔が見られるからそれでもいい
でもね、カナウ君
別にっていうのはこの場合の解答として絶対におかしいよ
どこの高校か聞いてるだけじゃんか
もう、ついていこうとか思ってる訳じゃないから
今更無理だもんね
本当は同じ高校行きたかったんだよ
このたったの2年間だけじゃなくてもっともっと一緒にいたくて会いたくてチャンスが欲しくてしょうがなかった
それに、そんな反応もいつものことだからさ
もう慣れっこだけどね
でも、またあなたと話がしたくなるのはたまに…
「桜井さんはどこに行くの?」
私に話をふってくれて
笑顔は浮かべてはくれないし本に目を向けながらだけど声が少し優しくって
それってさ私に少しでも興味持ってくれてるって勘違いしちゃってもいいの?
私、馬鹿だから勘違いしちゃうよ?
約束したこと覚えている?
思い出してね、絶対に私も笑顔を忘れず頑張るから
「私は桜並木高校だよ!」
でも、私に話をふって自分の話から誤魔化したって私は引き下がらないよ
今日は絶対に聞き出してやるんだから!
しつこいとか思われても構わない
大事なことだよ
あなたのことなら何でも知りたい知りたがりの私
しつこいぐらいが丁度いい
これ私のもっとーだから
そうやって生きてきて友達も出来て君が返事をくれるまでになった
一番最初に話したのを最後にしてそれから
話しかけて全部無視でやっと返事をしてくれたのだって2学期になってからそれもたったの一言だけ
それでも嬉しかったんだけどね
君の声が
君が私のために言ってくれたこと