ピンクパンサー


「あの時、もう一回
やりたいなあって莉緒
言うてたやん♪」


「あの時はあの時やろ!?
やめて!いやや!」


「ええやん莉緒〜」


「やだってば!
好きやない人となんか
ヤりたないわ!」



あたしは竜也の手を
振り払って逃げた。




「…ほな何で
俺を呼んだわけ?」



……あたしは立ち止まってしまった。



──そうや。


浮気をしてやろう思て……


でもそんなこと言えへん…。



「俺はお前の都合のいい時に
呼べて遊べる元カレか?」


「…ちゃうよ…」


「…今の強引にヤろうと
思ったのは悪かった。ごめん。お前は気づいてないようやけど俺はまだお前のこと好きやねん」



……そんな…


──胸が熱くなった。



竜也がだんだんと
近づいてくる。



「…彼氏とけんかしたんやろ?俺が忘れさせてやるよ」



竜也の左手が莉緒の
頬に触れた。



…あかん…

あかんよ…!



あたしはもう竜也の気持ちには応えられへん…。

だからダメ!


そう思てるけど、“やめて”が出てこない。


竜也を傷つけそうで……



そしてそっと近づいてくる
竜也の唇。





……チュ…
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