ピンクパンサー
「こらっ。ちゃんと仕事して」
「…はいはい」
「裕太ばっかり見てないで」
「…うるさいわ、お姉ちゃん」
──そう、あたし楠木葵(16)は、お姉ちゃんが店長のカフェでバイトをしている。
あたしの片思い相手、朝霧裕太(17)も、同じバイト仲間。
頑張り屋さんなとことか、優しいところにどんどん惹かれていった。
でも───
「裕太ー、来ちゃった♪」
「…お前さぁ、何回言えばわかってくれんねん」
「来るなー言われても来るもん♪」
裕太先輩には彼女がおる。
名前は知らないけど、同じ高校みたいで、もう一年以上付き合ってるみたい。
…ちっちゃくて可愛いけど、わがままだし意地っ張りだし、あたしはあんまり好かない。
それに、裕太先輩も言うてた。