ピンクパンサー
──デート当日。
あたしはいつもどおり軽く化粧をして、普通の服を着ていった。
可愛いとかどうだってええ。
恵介先輩やし。
もう、自分でも何してるのかわからんかった。
でもこれはヤケクソ。
もうどうなったってえーわ。
「葵ちゃん!」
恵介先輩が息をきらしながらこっちに走ってきた。
「ごめんな!遅なって」
「全然いいですよ。そんなに待ってないですし」
…嘘。
本当は20分も待った。
本当はイライラしてしかたなかった。
あ〜、はよ帰りたいなぁ。
雨でも降ってくれへんかな。