ピンクパンサー



──裕太はいつも無口。


なに考えてんのか、
半年付き合った今でも
ぜんっぜんわからん。




裕太は、去年の文化祭のときに
はじめて知った。




───────


「はい、コーヒー。」


「あ、どうも」



あたしのクラスの出し物の
カフェに、裕太が友達と
一緒にきた。


裕太はコーヒーを頼み、
それをゆっくり飲んでいた。


かっこいいって人気
あったから、あたしは
ついつい見てしまっていた。


だけど…




「すんません。
あの、コーヒーの中に
これ入ってたんやけど」


裕太がそう言って
あたしに見せたのは、
爪についていた
小さなバラの飾りやった。


すぐに左中指の爪を
見てみると、バラが
確かになくなっていた。


「あっ…
すんません!!
すぐ変えます!」


裕太が頼んだコーヒー
を作ったのは、あたしやった。

やばいと思いながら
アタフタしていると、
裕太はこう言うたんや。



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