ピンクパンサー


「もう今日で中学も終わりやん?高校も無事受かったけど…あんたどないすんの?悟くんのこと。」


「悟ぅー?
あぁ、あいつなら大丈夫やろ。しっかりしてるしな」


「…ホンマにええの?行かんといて、の一言でも…」


「えーの!」



あたしはみっこを遮って強く言った。





「…ええの。もう決めたんやから、あたしがなんか言ってもしゃーないやん」


「…まぁ…そうやけどさぁ…」



「ほな帰ろっ!
あっ、吉田のおっちゃんの駄菓子屋さん行かへん?」



みっこはあたしをじっと見てから言った。




「………行く」


「ほな行こーっ♪」


「………。」





──そう、あたしの彼氏・悟は、昔からの幼なじみ。


中1からずっと付き合ってる。



でも───


悟は、この春から鹿児島の高校に行く。


ひとり暮らしのおばあちゃんが病気になってしまったから、引っ越すことになった。




…あたしにそのことを言うとき、悟は泣いてなかった。


あたしも泣かなかった。




今まで15年間一緒にいて、離れるなんて全然実感がなかったからだと思った。
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