ピンクパンサー
──楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。
「……もう時間や。」
悟が時計を見て静かに言った。
「…うん。」
あたしとみっこも店を出て、見送りに行く。
みっこは“2人きりのがいいやろ”と気を遣って早めに悟とバイバイした。
──大丈夫…。
悟の足が進む。
ほんまにもうお別れや…
「…ココ」
悟が振り向いた。
「…何?」
あたしも平然と返事をした。
「…泣くな」
……あたしはいつの間にか涙でグシャグシャだった。
「…ブサイクがもっとブサイクになるで」
「…うっさいわ。あたしなんか世界一キュートやろ」
「何言ってんねん〜。
それを言うなら世界一ブサイクやろ(笑)」
悟は笑いながらあたしの髪をクシャクシャにした。