in theクローゼット
 そんなことには構わずに教室の扉を開くと、入ろうとしてきた人物に真正面からぶつかった。


「いってぇ……」


 勢いで弾き飛ばされ、お互い尻餅をつく。

 立ち上がろうと顔を上げると、ぶつかった人物と目が合った。

 照れくさそうに目を細めて笑う相手は……


「青山……!」


 相手の顔を見た瞬間、体が動いていた。

 青山がバラした。

 篠塚のことを。

 コイツのせいで、篠塚は!


「うああああああああ!!」



 俺は、青山を殴り飛ばしていた。



 立ち上がろうとしていた青山が再び床に倒れ、俺は拳を握り締めて立っていた。

 握りこぶしに、青山の肉とその下の骨の感触が残っていた。


「圭一、テメェ……何しやがんだ!」


 騒然となった教室が俺と青山の動向に注目している。


「オマエが、篠塚のことを喋ったんだろうが!」


 頬を押さえた青山が睨んでくるが、俺も睨み返し篠塚の机を指差す。
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