in theクローゼット

「私、稲葉のこと好きだよ」


 真っ直ぐに稲葉の目を見つめて、私は告白した。


「…………俺も、篠塚が好きだよ」


 優しく微笑む稲葉は、きっと私の気持ちを理解してくれている。


「じゃあさ、キス……しよっか」


 少し恥ずかしくて、俯きながら稲葉をうかがう。


「ん……」


 稲葉は赤くなって、頷いた。


「あっ、でも……私さっきトイレの床にキスしちゃったんだ」

「エ?」


 私の言葉に稲葉は少し眉間にシワを寄せた。

 でも、それは私に対してではなくあの三人に対してなんだと、その表情から伝わってきた。

 嬉しかった。


「んにゃろう……まあ、いいよ、別に。俺も青山に……」


 青山の名前を口にしたとたん、みるみる稲葉の顔が赤くなっていく。

 私がキスしようと言ったときよりも、更に。


「キッ、キッス…………したし」


 そして、衝撃の告白。
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