in theクローゼット

「篠塚さん! 圭一! 早まるな!!」


 そして、青山が奇妙なことを叫びながら屋上に飛び込んできた。


「あれ?」


 談笑している俺と篠塚に、勢いよく飛び込んできた青山がほうけた顔をする。

 早まるなとか言われた俺たちも、きょとんだ。


「どうしたの?」

「いや、香坂さんが……」


 しどろもどろな青山の話を要約すると、こうだった。

 青山は、俺たちを心配して探してくれていたらしい。

 それを手伝っていたのが水無瀬と香坂。

 青山は屋内を、香坂たちは屋外を手分けして探していたらしい。

 やっぱりグラウンドにいたのは香坂と水無瀬らしく、屋上の俺たちを見つけた。

 そして、飛び降り自殺と勘違いした。

 香坂は悲鳴を上げ、水無瀬と必死に思い止まるよう叫ぶ。

 校内からその叫びを聞いた青山が慌てて屋上に向かい、さっきの発言をするに至ったわけだ。
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