in theクローゼット
「……篠塚って、結構インテリなのな」
物思いから我に返ると、稲葉が呆気にとられた様子でケーキを食べる手を止めていた。
「学校の成績は悪いけどね」
気になるから、いろいろ調べただけの話。
インターネットっていうのは本当に便利だね。
私が笑うと、稲葉も笑った。
一人じゃないって、どうしてこんなに心強いんだろう。
「ごちそうさまでした」
パフェを食べ終わり、両手を合わせる。
甘いパフェのおかげで、少しは話の苦さも多少は紛れた気がする。
後味は悪くない。
私より後に注文したくせに、とっくに稲葉は食べ終わっていた。
それぞれ会計を済まし、店を出る。