in theクローゼット
三笠の家着くと、家の前にトラックが停まり、荷物が積み込まれたりと引越しの準備がちゃくちゃくと進んでいた。
篠塚は庭先に立つ三笠の姿を見つけると、自転車から飛び降りて駆けて行く。
「舞!」
「っ……なにしに来たのよ!」
少し高くなった庭を囲う柵にしがみつく篠塚に気がつくと、三笠はあからさまに顔をしかめて嫌悪感をあらわにする。
篠塚は一瞬傷ついた顔をするが、そんな顔をされるのはもとより承知の上でここまで来た。
篠塚はめげない。
「だって、メールも電話もつながらないから……」
「帰っ……!」
「あらっ、愛ちゃん」
帰れと三笠が口を開いたのと同時に、縁側の窓が開いた。
髪を一つに束ねて横に流した女性が顔を出す。
「久しぶりね。見送りに来てくれたの?」
参観日などイベントごとで三笠の親を見かけることはほとんどないが、おそらく三笠の母親だろう。
引っ越しのために動きやすく埃除けのエプロンをつけているが品のよさがうかがえ、肝っ玉母さん的な俺の母とは大違いだ。
篠塚は庭先に立つ三笠の姿を見つけると、自転車から飛び降りて駆けて行く。
「舞!」
「っ……なにしに来たのよ!」
少し高くなった庭を囲う柵にしがみつく篠塚に気がつくと、三笠はあからさまに顔をしかめて嫌悪感をあらわにする。
篠塚は一瞬傷ついた顔をするが、そんな顔をされるのはもとより承知の上でここまで来た。
篠塚はめげない。
「だって、メールも電話もつながらないから……」
「帰っ……!」
「あらっ、愛ちゃん」
帰れと三笠が口を開いたのと同時に、縁側の窓が開いた。
髪を一つに束ねて横に流した女性が顔を出す。
「久しぶりね。見送りに来てくれたの?」
参観日などイベントごとで三笠の親を見かけることはほとんどないが、おそらく三笠の母親だろう。
引っ越しのために動きやすく埃除けのエプロンをつけているが品のよさがうかがえ、肝っ玉母さん的な俺の母とは大違いだ。