in theクローゼット
「っ……なんで泣くのよ! なんて、アンタが泣くのよ!」
私の涙に、舞がじだんだを踏む。
「わたしが泣きたいよ! アンタが泣いたら、私が悪役じゃない!」
そう言う舞は、本当に泣きそうだった。
目がうさぎみたいに赤い。
悪役は、私だった。
「愛ちゃんが悪いんだよ! わたしは、ずっと愛ちゃんと友達でいたかったのに……愛ちゃんが、告白なんかしてくるから!」
舞が私を見る。
ようやく、舞と目が合った。
「愛ちゃんとなら、大丈夫だって思ってたのに! 愛ちゃんとなら、離れ離れになっても、ずっと友達だよって……そう言えると思ったてたのに」
涙が溢れ返って、舞の頬を濡らす。
「ケンカしたって、すぐに仲直りして、愛ちゃんとなら、ずっと……友達だと思ってたのに」
稲葉と私が付き合ってると勘違いして舞は怒ったけれど、すぐに仲直りするつもりだったんだ。
転校しても、ずっと友達だよ。
親友だよ。
そう言うはずだったんだ。
「どうして……? どうしてなのよ、愛ちゃん!」
告白をして、振られて、それでも舞は私と友達でいてくれると言った。
本当は、同性に告白するような私なんて気持ち悪かったくせに。
「愛ちゃんも、言ってくれたのに」
舞は、嘘をついた。
「ずっと友達だよって、言ったじゃない!」
でも、最初に嘘を吐いたのは私の方だったんだ。