Love Birthday‥
「お姉ちゃんは何描いたの?」
翔太君が私の絵を覗き込み、顔が固まった。
「ブタ?」
「ブタじゃないよ! 猫だよ!!」
「嘘!?」
翔太君が大爆笑した。
リハビリ室に翔太君の笑い声が響いて、みんながこっちを見る。
「あはははっ、絶対ブタにしか見えないよ~!」
「どこからどう見ても猫だよ!」
私達の声を聞いて、山本さんが笑顔で来た。
「どれどれ? これが……猫??」
私の絵を見て首を傾げる山本さん。
山本さんは「翔太君の言うとおり!」って言い、大きな口を開けて笑った。
「も~、山本さんまで~!」
「ごめんごめん、愛実ちゃん左手で描いたんだもんね。
右手が治ったらまた描いて見せてよ」
「え?? ……私左利きです」
山本さんは一瞬間を置いて爆笑した。
翔太君なんかお腹を抱えて笑ってる。
小さい頃から絵を描くことが好きだったけど、へたくそな私は美術の時間に男子にからかわれらことがあった。
その時は小さな胸がチクチク痛かった。
だけど、今は悪い気がしない。
絵が下手で笑われてるのに、嬉しいんだ。
絵を描くことが下手で良かったって思うんだ。