Love Birthday‥
「ありがとう、お姉ちゃん。またブタの絵描いてネ!」
笑顔で病室に戻っていく翔太君に手をふった。
ありがとうだなんて言われると思わなかった。
胸が熱くなり、涙がこみ上げそうになる。
「愛実ちゃん」
山本さんの声に振り向いた。
「すみません。少し見学させてもらうつもりがこんなに長くなって」
「ううん。愛実ちゃんのおかげで翔太君楽しそうだった。
先週、翔太君がかわいがってたハッチが亡くなったの。
すごく落ち込んだんだけど、ハッチの絵を描いてハッチのお墓に見せに行くって決めてから少し落ち着いたんだ。
けど、やっぱり無理して笑ってるように見えてた。
今日は久しぶりに翔太君の明るい笑顔が見られたわ」
そうだったんだ……。
翔太君の笑顔の奥には、大好きなハッチとのお別れがあったんだね。
胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
「だからありがとう。愛実ちゃんのおかげよ」
山本さんの笑顔に小さく首をふった。
あの翔太君の笑顔に、少しでも役に立てたなら嬉しい。
翔太君にはいつも笑っていてほしいと思った。