Love Birthday‥




「愛実ちゃん、この続き手伝ってくれる?」


熊田さんが途中まで折った鶴の折り紙を私に差し出した。


私がすぐに受け取ろうとした時、山本さんが声をかけた。



「熊田さん、自分で折って下さい」


山本さんの真剣な表情を見て、熊田さんは渋々鶴を折り始めた。



「あの、私なら手伝ってもいいですよ?」


山本さんに小声で言った。


私がここに来てからまだ一つも鶴を完成させてない熊田さんのお手伝いをしたいと思ったから。


けど、山本さんは私に首を振った。



「気持ちはありがたいけど、
それじゃ意味ないの。
熊田さんのために、熊田さんが自分で鶴を折らなきゃ」


真剣な顔で熊田さんを見つめる山本さんの眼差しは、

とても優しかった。



リハビリって、相手に手を差し出すだけじゃないんだ。

どんなに時間がかかっても、最後までやりぬくことを見守ることも大切なんだね。



鶴が完成した時の熊田さんの笑顔は、とても嬉しそうだった。

達成感が満面な笑顔に溢れていた。














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