Love Birthday‥
「帰るね」
服を着始めた私を、志則が後ろから抱き締めた。
「もう帰るの?」
「うん。これから理子たちとクリスマスパーティーするから」
「俺も行っていい?」
「だ~め!」
私は近づいてきた志則の顔を、手の平で押し離した。
志則はふくれっ面で、布団の中にあった私のスカートを取ってくれた。
志則が来たら大変なことになっちゃう。
女の子に人気がある志則と私の関係は、誰も知らないんだから。
っていうか、志則とのことは誰にも知られたくない。
だから志則とは学校で滅多に話さないようにしてるのに、
いきなり連れて行ったら怪しまれそうでこわい。
志則の軽い一言で、私の頭の中はフル回転でいろんなことを考えてるのに、
当の本人はまた布団に潜り込んでる。
本当は、志則は最初から行く気がないこと、
私もわかってるんだけどね。
「じゃあね」
あれ? 寝ちゃったのかな……。
声をかけても、志則は布団から顔を出さなかった。
私はそのまま部屋を出て、理子の家に向かった。