Love Birthday‥
あれは今年の夏。
高校三年の私達は、情報処理という授業で先生に勝手にペアを組まされた。
たぶん、パソコンが超苦手な私のために、パソコンが得意な志則を組ませたんだと思うけど……。
授業時間内に出来なかったことを、放課後二人で教室に残ってやっていた。
「あ~、やっと終わった~!」
「やっと終わったじゃねーよ!
市ノ瀬は俺がやってるのを見てただけだろ!?」
「だって、私がやるより早いんだもん」
「あのなぁ、もともと市ノ瀬が授業中に出来なかった分なんだから、本当は俺は居残りなんかしないで帰ってよかったんだぞ」
「ふふっ、吉田君って優しいんだね」
「おちょくるな!!」
少し赤くなった志則の顔が、なんだか新鮮だった。
三年間同じ教室で過ごしてるのに、志則とはほとんど話したことがなかった。
志則はかっこよくて、入学式から女子生徒に騒がれてた。
私はそんな志則の横顔を、少し遠いところから見ていた。
なぜかその横顔を、今でもはっきりと覚えてるんだ……。