Love Birthday‥
学校の玄関を出ようとした時、先生がドキッとする名前を口にした。
「吉田志則、
あいつも市ノ瀬と同じリハビリに就職してるぞ」
名前を聞いただけで、私の心臓は後ろから突かれたように大きく鳴った。
「そうですか……」
ずっと知りたかったことを突然知った私は、驚きのあまり平然を装って答えた。
三年制の大学に入った志則は
もう卒業して理学療法士の仕事をしてるんだ……。
高校を卒業してから1年間は理子や高木君から志則の話を聞いていた。
東京の水でお腹を壊したとか、電車で痴漢に間違われたとか……。
些細な情報がとても嬉しくて、志則の姿を想像して電話越しで笑ったりなんかもした。
だけど、電話を切った後は必ず志則に会いたくなって寂しい気持ちになった。
卒業して2年が経った頃から、
志則は国家試験の勉強で忙しくなったのか、あまりみんなと連絡をとらなくなった。
その頃から志則の話は聞かなくなったんだ。
志則は、私より一歩前にいるんだね……。
不安だった私の心に勇気が湧いてきた。
私も頑張らなくちゃ……!!
「先生、また来るね!」
高校生だった頃のように笑顔で懐かしい校舎を後にすると、
先生は嬉しそうに手を振っていた。