Love Birthday‥
しばらくして、拓海先輩が部屋に入ってきた。
拓海先輩の小百合に向ける優しい眼差しで、
小百合の顔が一気に赤くなる。
「拓海先輩、お久しぶりです!
こっちに座って下さい」
久美子が小百合の隣の席を空けて、拓海先輩を誘導した。
「おっ、久美子ちゃん相変わらず元気だね。
みんなも久しぶり!
こいつ、同じ大学の竜也なんだ」
拓海先輩が小百合の隣に座りながら、後ろにいた背の高い友達を紹介した。
「よろしく!」
勢いのある声で挨拶した竜也さん。
短髪を茶色に染めて、大柄な人だった。
拓海先輩も竜也さんも、大学生って感じで、どこか大人っぽい雰囲気。
私達にはないものをもっているって感じがした。
拓海先輩と同じサッカー部だった高木君は、
拓海先輩に大学のサッカーのことを嬉しそうに聞いてる。
拓海先輩は、高木君と話しながらさりげなく小百合の手を握り、
小百合の顔は真っ赤に染まった。
いいな~。
私もあんなふうに杉田君に手を握ってほしい。
そんな妄想を膨らませていると、志則の鋭い視線に気がついた。
睨みつけるように見ている志則の目は、
私の隣に座った竜也さんを見ている。
志則……?
志則は私の視線に気づかないまま、久美子に誘われマイクを手にした。