Love Birthday‥
歌い始めると、志則の表情は元に戻ったようだった。
「名前なんていうの?」
竜也さんが耳元で聞いてきた。
「愛実です」
「愛実ちゃん、俺達も一緒に歌う?」
「は、はい……」
会ったばかりの竜也さんは、親しみやすいというか、なんというか……
かなりスキンシップが激しい。
同じソファに座ってるせい?
竜也さんの伸ばした腕が、私の背中に当たってる。
苦手なタイプかも……。
そう思っていると、竜也さんの手が私の肩に触れた。
「あっ、この曲入れちゃいますね」
煙草の匂いが微かにするその手を払い避けたくて、
竜也さんの前に置いてあるリモコンを取ろうとした瞬間……
「あれ、キスマーク?」
屈んだ私の胸元を見た竜也さんが、クリスマスに志則が付けたキスマークを見つけた。
もうほとんど消えているキスマークを、竜也さんが覗き込む。
「ちっ違います!」
「嘘だ~。ちょっと見せてよ」
両手で隠した私の手を避けようとする大きな手。
やだ。やめてよ!!
そう叫ぼうとした瞬間
キーーーーンという音が部屋の中に響き渡った。