Love Birthday‥
「久美子のこと、好きになったの?」
コットンに消毒液をつけながら、志則の顔を見ずに聞いた。
「久美子ちゃん……?
もしかして、やきもち妬いてる?」
「まさかっ!」
「……だよね」
私の顔を覗き込んで聞いてきた志則に、すぐに否定した。
やきもちなんか妬かないよ。
ただ、久美子は私の友達だから……
最低な志則が久美子と付き合ったら困るって思っただけ。
ただそれだけだよ。
消毒のついたコットンを志則の唇端につけると、志則は痛みを堪えてるのか何も話さなくなった。
すぐ近くにある私の顔を、じっと見ている。
物音一つしない静かな部屋。
傷を見ながら、
私は志則の視線に押しつぶされる感じがした。