Love Birthday‥
志則は、それでも私を抱き締め続けた。
いつもなら、このまま志則の雰囲気にのみ込まれてる。
だけど、心に沈んだ何かが
それを拒絶した。
「私、好きな人がいるの。
明日、その人と会う約束したんだ。
だから、もうこんなこと止めにしたい……」
私を抱き締める志則の耳元で
笑って言ってる私がいた。
志則の腕の力が緩み、私は驚いた顔をしている志則に視線を向けた。
すると志則が、一瞬の沈黙の後に笑って言ったんだ。
「誰? 愛実が好きになる奴ってどんな人?」
「教えてやんない!」
顔を横に向けて明るく言った。
「一樹? 大谷か!?」
興味津々にたくさんの名前を言い始める志則。
私はクイズの不正解を知らせるように、明るく「ブッブ~」って言った。
そして、立ちあがった。