Love Birthday‥
歩美さんの鼻をすする音が聞こえている間、私は外を見ていた。
降り止まない雪が、温かい喫茶店の入口に繋がるコンクリートの階段を埋めていく。
まるで、私が思い描いていた新しい恋への階段を埋め尽くしているようだった。
もう限界
涙が溢れそう。
そう思った時、降り注ぐ雪の中に歩く姿が見えた。
志則――。
白い息を吐き、寒そうにポケットに手を入れて歩く志則だった。
そっか、ここは志則の家への帰り道だもんね。
寒くて下を向いて歩いている志則。
こんな所に私がいるなんて気づかないよね。
気づくわけない
気づくわけないのに……
私は志則に振り返ってほしくて
志則の背中を見つめた。