Love Birthday‥


「ごめんね、愛実さん。
昇ったらね、私が誤解して別れるって言ったら、泣きながら愛実に会わせるから俺を信じてくれって言ったの。
だからこんな事に愛実さんを巻き込んじゃって……」



「気にしないでください。
誤解が解けて良かったです」




声が震えないように笑いながら言った。




私、杉田君を名前で呼んだことなかったよ。


本当は名前で呼びたかったのに、恥ずかしくて一度も呼べなかった。


歩美さんは、スラッと名前を呼べちゃうんだね。




私は杉田君を想って数えきれないくらいの涙を流したよ。


だけど、杉田君は私の前で一度も泣いたことがなかった。


たぶん

私のために涙を流したことは一度もないと思う。





悲しみの渦がどんどん大きくなっていく。





もう何も聞きたくない



もう何も見たくないよ……。











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