Love Birthday‥
「こんな所にいたのかよ!」
志則の声で我に返った。
これは幻聴でも幻覚でもない。
本物の志則が息を荒くして立っている。
「杉田、悪いんだけどこいつ連れて行っていい?
こいつ俺の兄貴と付き合ってて、こいつが待ち合わせ場所に来ないって兄貴すげー怒ってるんだ」
「え!? そうだったの??
愛実ごめん、足止めさせちゃって」
「あっ……うん。いいよ」
訳がわかんなかった。
ただ目の前で謝ってる杉田君と
志則を見て顔を赤くした歩美さんの姿が目に映った。
志則が力強く私の腕を持ち上げて、
その力に持っていかれるように私のお尻が椅子から離れた。
重たかったお尻がふわっと宙に浮いた瞬間、
溺れているところを網ですくい上げられたような感じがした。