Love Birthday‥
「松井先生、ありがとうございます。
私の家ここから近いんで薬もらったら一人で帰れます」
待合室で待ってくれていた松井先生に言った。
「大丈夫か? 家まで送るぞ?」
「もう痛みもほとんどないので大丈夫です」
私の両親がまだ家にいないことを知って、
松井先生は、今日の夕方に怪我の説明をしに私の家に行くと言い、学校に戻った。
松井先生の姿が見えなくなり、なんだか急に不安になった。
やっぱり送ってもらえば良かったかな……
滅多に来ることがない病院は、変な緊張感がある。
病院のロビーで会計を待つ時間、
黙って座っていると痛みがジンジンと感じ始めた。
名前を呼ばれて会計に行くと、驚く問題が発生した。
右手が使えなくなった私は、鞄を床に置いて左手で財布を取り出した。
……左手に持った財布を開けることができない。
どうやってお金を出したらいい??
今まで当たり前にやっていたことが出来ない自分に気がついた。