意地悪な男と恋をはじめます。
「前も思ったけど、なんで矢野は、私のことを知ってるの?」
考えながら歩こうとすると、近くに置いてあった踏台に気付かず、足をぶつけてしまった。もちろん、その途端に『ドンッ』と大きな音を立ててしまった。

「ヤバっ!」

足跡がこちらに近づいてくる。一歩一歩と、洸の足跡が・・・。
私は、息をころした。

「あっれー?桜楽さん、どうしたの?」

「な、なんもないわよ!資料取りに来たのよ・・・」

「覗きって、桜楽さん趣味悪いねー。」

「別に覗いてないわよ。ただ声が聞こえて来たから。それにわからないのよ。」

「あんなばればれな覗きはないわ。」

な、本性表したな。この意地悪詐欺師!と思ったのは、内緒だ。
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