意地悪な男と恋をはじめます。
なんでお礼をいうのかもわからなかったが、この時は何故かお礼を言っていた。
そう、ごくごく自然にだ。

無事助かると知り、安堵のため息も、漏らした。

そのあと警察が来て、私は保護された。行方不明になって三日くらいたっていたらしい。その間、両手両足は縛られたまま。そして、ろくに食事も与えらていなかった。

保護されて、すぐには歩けなかったけど、無事親の元にたどり着けたのが、一番の喜び。

「だから私は今回の事件のあと、矢野にお世話になったけど、自分のせいと攻める姿は見たくなかった。過去に誘拐されたことがあったからかは、私にもわからないわ。」

「桜楽さん、大変だったんだね。」

これが初めて人に話した、私の過去。
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