意地悪な男と恋をはじめます。

通り過ぎようとすれば、ふと相手が気づき声をかけられる。気づいたのは、洸ではなく黒瀬先輩の方。

「橘どうしたのよ。」

「気づいたか。」

「そうね。なんでこの子といるのかしら?」

嫌味なことしか、言えないのか。そうとしか思えない。

「お前のせいで一人で帰ることになってたからな。一緒に帰るんだ。」

「いいじゃない、それ。なら私は、遠慮なくこの後輩くんと帰るわね。行きましょ、矢野。」

となりに女の人がいるのはこんなに苦しいのか。こんなにも、みているのに。

大好きなのに。

矢野のことを好きになったのは、つい最近?それでもいい。関係ない。

「矢野、俺が彼女送ってってやるよ。」
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