意地悪な男と恋をはじめます。
それとも私が矢野に、弁当渡すなんて考えもつかないのだろう。

「桜楽さん?」

「仕事でわからないことがあったわけじゃないわ。ただ、これを持ってきただけよ。こないだ助けてもらったし。お礼が遅くなったのは、ごめんなさい。」

「ああ、あの時のお礼ね。別に良かったのに。でも・・・ありがとう。ちょうどお腹空いてたんだ。ありがたくいただきます。」

「味の保障はしないからね!」

ああ、やっぱり正直に言えない。正直になりたい。
ただ、料理は得意だから、気持ちを込めて作ったの。なんて言えない・・・。
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