コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~
神様お願い。
どうか佐伯が嫌がったりしませんように。
もう十分俺は、死にそうなんだから。
風の冷たさなんて全く感じなくなって、全身が心臓になったみたいに震えていた。
返事がないけれど嫌がっている雰囲気はない。そう思ってちらりと彼女を見ると、そこには真っ赤な顔をして目を伏せる姿があった。
・・・わお、めちゃ可愛い。それに、嫌がってるようには見えない、よな。
と、いうことは――――――――
喜びよりも緊張が大きかった。
俺は熱すぎる顔を風にさらし、息を止めて、そおっと佐伯に近づいた。
やたらと空が青い。
その後もずっと、俺はその日その時の、空の色ばっかりを覚えているんだろうと思う。
「コントラスト」終わり。