コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~
3、心の中で勝手に盛り上がるレベル
部活中は、隣の席の女子のことを忘れていられる。
それってつまり、部活中以外は、結構考えているってことだ。
それを言い訳には出来ないけれど、俺は翌日、ポカをしてしまった。
それも、大きなおおき~なポカを。
「・・・・あ、俺死んだ」
もうへなへなと崩れ落ちてしまいそうな心境でそう呟いて額に手をやる。
・・・しくじったああああ~・・・・。なんてこった。
俺はよく寝る、それは周知の事実だ。だけど、そんな横内でもこれはさすがに起きてるよな、って友達に笑われるような地獄の授業が、我が校にはあるのだ。
それは、数学2-B。文系を選択した生徒は3年生からはおさらば出来る数学も、うちの高校は2年ではまだ必修授業として与えられる。それが数学2-B。
教鞭をとる貝原先生はこの高校の名物教師で、それは決して友好的な意味での名物先生ではなく・・・どちらかというと、モンスター的な扱いをされている先生だ。
背がひょろりと高くて、眼鏡をしていて、超無表情。
とにかく、なんとしても答えなければならないこの授業には、予習と復習が必ずいる。もうそれをしておかなければ一年間が台無しになるといって間違いない、そういう恐ろしい授業なのだけど――――――――――――
・・・その予習ノートを、俺は忘れてしまいました。家の、自分の机の上に。
チーン、と頭の中で音がなったほどだった。