コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~
ドン!と同時に、ガツン!って音もしたと思う。
気がついたら俺は少しだけ吹き飛ばされて、自分が歩いてきた廊下を戻った場所で尻餅をついていた。
・・・・・・・いったあああああ~!
口元が強烈に痛いぞ!それにこの感触、味は・・・。
「いたっ・・・た・・・」
そう零すのがやっとの状態で、俺は口元を押さえながら夕日に染まる廊下で顔を上げる。
丁度曲がり角の向こう側、横向きになった上履きが目に入った。それから、廊下に散らばる大量のプリント。うわ、ぶつかったんだな、それにしても凄い衝撃――――――――――絶対今、口がぶつかった・・・。唇が酷く痛む。一瞬の記憶、覚えているのは、見開かれた目とそれから・・・。
ぬるりと手の平で気持ち悪い感触がした。
「げ」
「・・・うおっ・・・おえ~・・・」
相手の声が聞こえた、と同時に自分も言っていた。それも、こんな情けないセリフを。
げ、が相手で、おえ~が俺だ。
バッチリと目が合った。
・・・・・・・あ。この人。
倒れた上半身を引き起こしながら呆然とこっちを見ている女子を、俺は知っている。
クラスメイトだ。それに、席が隣の・・・はず。ええと、名前が出てこないけど―――――――――
「・・・だ、大丈夫?」
彼女が小さな声でそういって、そろそろと膝を地面について近づく。