コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~


 一応部活は頑張ってるってアピールはしておきたい。・・・って、あ!!

 そこで俺は、結構な時間部活に戻っていないのだ、とようやく気がついた。折角まさかの偶然で佐伯に会えたけど。そもそも休憩時間はそれほどないのだから、戻ってお弁当を食べなくてはならないのだ。

 だから名残惜しかったけどこれで終わりにしねーと・・・。

 俺は彼女の方をみて言った。

「じゃあこれからは、空色って言おう。スカイブルーは面倒くさいし」

「うん」

「別に面倒くさいの使う必要ないよな。簡単なので。綺麗だったら、それで、別に」

「うん、そうだよね」

 そう別に大した問題じゃない。呼び方が違っても、見ているものが同じなら。大した問題じゃないんだ、今日だって負けたけど、次は、次こそは―――――――――

 一瞬俺は、佐伯とぶつかるまで自分の心を支配していた悔しさを思い出した。だからぽろっと言ってしまったのだ。

「・・・負けたら、次は勝てばいいってのと一緒だな」

 って。

 佐伯がハッとしたように動きを止めたのがわかった。

 俺はそっちを見れなくて、それからやっぱりちょっと恥かしくて、上を向いていた。また空を眺めるみたいに。この子に弱音みたいなこと、言うつもりじゃなかったのに。顧問が言ったように、俺達も頑張ったけどそれより相手が頑張ったってだけだ。今日のこの悔しさははらせるときがくるはず・・・。

 その時、恐る恐るといった感じの彼女の声が風にのって流れてきた。

 それはぽんと俺の耳の中へと飛び込んで、爆竹みたいにバチバチと音をたてて跳ね回る。


「・・・横内君って、負けず嫌い?」



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